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王子さま概念論

王子様は概念、はっきりわかんだね

カノバレと女の子たちの欲望

最近、2.5次元舞台を主とする若手俳優さんたちのいわゆる「カノバレ」炎上案件をよく目にする。目にしすぎて感覚が麻痺するくらいには、目にしている。

 

haiyuchu.hatenablog.com

 

私は小さなときから宝塚が好きなヅカヲタで、2.5次元は少しかじる程度にしか判らない。けれど、この「カノバレ」を嫌がるファンの気持ちはよく分かります。こういった感覚を「わからない」「(俳優に恋するなんて)バカなんじゃないの」と思っている方にも、読んでもらえたらいいなと思って、ブログを書いています。

 

若手俳優の「カノバレ」というものは、例えるなら、宝塚の男役さんが「カレシバレ」しちゃうようなものだと思う。正直、宝塚でキラキラ輝く男役さんといえど、中身は年頃の若い娘さんたちなのだから、彼氏くらいいるだろう。けれども、「宝塚の男役である限り」それをファンに見せるのは、「宝塚の男役失格」なのだ。

これを若手俳優に置き換える。

若手俳優さんといえど、中身は年頃の若い男の子なのだから、彼女くらいいるだろう。けれども、「若手俳優である限り」それをファンに見せるのは、「若手俳優失格」なのだ。

そういうことなのだ。

これはジャニーズでも同じだと思う。

 

ただ、私は、私の知る限り、現役タカラジェンヌの醜聞を、表立って聞いたことは無い。宝塚には「すみれコード」という、プライベートを暴かない禁則事項があること、また、ファンとSNSでの交流を禁じられているため、原則、炎上する環境にないのだ。

ジャニーズの場合は、とにかく事務所が大きい。いざとなれば、事務所が所属タレントを守ってくれるだろう(言い換えれば、いわゆる「もみ消し」ともいうけれど)。そもそも、ジャニーズ事務所は「レッスン料=無料」を頑なに貫くなど、所属タレントを保護することには注力している事務所である。

 

しかし、若手俳優の場合、上記のような劇団・事務所の恩恵を、大手所属のタレントでもない限り、ほとんど受けられない。それでありながら、SNSは彼らをセルフプロデュースするための重要なツールだ。まるで、ガソリン撒いた新聞紙の上でダンスを踊っているようなものだと思う。この環境は、少しかわいそうだな…とも思う。興行側は、「2.5次元舞台はクールジャパン戦略の一つ!」などと謳っておきながら、肝心の彼らのことをまるで保護していない。

それは、わかる。大変だと思う。

だが、だからといって炎上していい理由にはならないのだ。残念ながら。

 

ファンの大多数は、本当に若手俳優と付き合おうなんて、付き合えるなんて、思っていない。ただ、彼らから「夢」と「希望」を買っている。「憧れの王子様に会えた!明日もまた現実を頑張ろう!」という活力を、買っているのだ。

アイドル(若手俳優・タカラジェンヌ・ジャニーズなど)は、夢を売る偶像(アイドル)でなければならない。アイドルは、たくさんの女の子のたちの欲望を食らって生きている。女の子たちの欲望。付き合いたいとか、セックスしたいとかじゃない。「明日も頑張って生きる」ため、キラキラした美しいものに抱く純粋な希望そのもの。それが、女の子たちの欲望。

憧れのアイドルを見ただけで、泣き出す女の子だっているんだよ。それはとてつもなく崇高な、魂の浄化だ。

 

だからもっっと、若手俳優たちは「自分たちが女の子の欲望を食らって生きている」ことを自覚して欲しい。ジャニーズやタカラジェンヌのように、事務所の恩恵を受けられない分、強く、若手俳優たちには意識して欲しい。

 

そうでなければ、若手俳優なんて、芝居もうまくない、歌もうまくない、ダンスもうまくない、ただちょっと若くて顔がいいだけの男の子だ。人気マンガやゲームのキャラクターを演じなければ、何の注目もされないような、男の子だ。上には上がいる世界の、(実力的には)最下層にいる、男の子だ。

ファンだって、馬鹿じゃない。

うまいお芝居を観たければ、文学座とか俳優座とか、本格的なお芝居をみせてくれるところにお金を払う。うまい歌が聞きたければ、オペラに行く。ダンスがみたければ、バレエに行く。色々選択肢はある。その中で、大して演技も歌もダンスも上手くない男の子たちにお金を払っているということ、もっと考えてみて欲しい。わたしたちが、何を求めて、あなたたちに会いに行ってるのか、もっと考えて欲しい。

そう、思う。

これは宝塚でもジャニーズでも同じことですけれどね。タカラジェンヌなんて宝塚にいなければ、ただの世間知らずのお嬢さんだし、ジャニーズだって、例えば嵐さんなんか、30過ぎたちっさいおっさんでしかないわけよ。それでも、わたしたちは彼ら彼女らから、夢を買って生きている。

 

彼女がいることは問題ではない。

ただ、炎上して、ファンに謝罪して…そういった「醜態」を晒したとき、もうファンは昨日と同じようには、推しを愛せない。推しが夢をみさせてくれるから、わたしたちは頑張れるのに、そのきらめきを浴びながら、明日も生きていけるのに、推しの醜い姿をみて、一体どこに希望をいだけと言うのだろう?

誠心誠意、言葉を尽くしてくれたら、また応援するかもしれない。だが、その応援の仕方は、昨日までのものと同じようにはいかない。夢売人の仮面は剥がれて、芝居もうまくない、歌もうまくない、ダンスもうまくない、実力のない俳優なんだって実感してしまったあとは。

 

女の子たちの欲望を受け止められないのなら、若手俳優なんてやめてしまったほうがいいと思う。女の子たちの欲望を、受け止め続ける王子様なんて、あまりにも辛い職業だから。やめたほうが、健康的だとも思う。アイドルをやれるひとって、そもそも特殊な才能なんだよ。

テニミュから「2.5次元舞台」というジャンルが始まって、人気マンガやゲームのキャラクターという仮面を失って、俳優もやめて、いまは一般人として結婚したり、子供のいる「元若手俳優」のひとたちの、幸せそうな様子をみると、特にそう思う。